変形性股関節症で「中殿筋を鍛えましょう」「スクワットをしましょう」と言われても、運動後に脚の付け根や外側が痛くなると続けてよいのか迷います。筋トレの目的は、特定の筋肉だけを強くすることではなく、股関節へ負担を集中させず、立つ・歩く・階段を行う力を段階的に取り戻すことです。
まず整形外科で診断と手術適応、骨折・大腿骨頭壊死症・急速な関節破壊などを確認します。医師から運動を止める指示がなくても、夜間痛や急な歩行低下がある時は自己流で追い込みません。必要な医療を受けた後も動作が解決しない場合に、可動域と生活負荷を見ながら運動を選びます。
この記事でわかること
- 股関節の筋トレが必要になる理由
- 運動を始める前の医療安全チェック
- 床上から歩行へ進む5段階
- 中殿筋だけ鍛える落とし穴
- 翌日の反応で負荷を調整する方法
- 高槻あつ整体院で確認する全身連動

筋トレの目的は「筋肉を大きくする」だけではない
股関節周囲筋は、片脚で体重を支える、骨盤を安定させる、脚を前後へ運ぶ、方向を変える働きを担います。痛みが続くと活動量が減り、筋力と持久力が落ち、さらに歩行が不安定になる悪循環が起こります。
運動療法では、筋力だけでなく可動域、有酸素運動、体重管理、生活動作を組み合わせます。筋トレで骨の形や失われた軟骨を元通りにするのではなく、残っている動きと筋力を使い、生活機能を保つことが中心です。
画像の変形が強くても生活機能を保つ人がいる一方、変形が軽くても痛みが強い人がいます。画像だけ、筋力だけ、年齢だけで運動の可否を決めません。
始める前に整形外科へ確認したい状態
- 安静時痛・夜間痛が強く、姿勢を変えても落ち着かない
- 数日から数週間で歩ける距離が急に短くなった
- 転倒後に体重をかけられない
- 股関節を動かすと鋭い痛みや強い引っかかりがある
- 発熱、赤み、全身倦怠感を伴う
- 脚が急に短くなった感じや著しい筋力低下がある
これらは筋力不足だけで説明できません。大腿骨頭壊死症、骨折、感染、急速破壊型股関節症、神経障害などを除外するため、運動方法を探す前に医療評価を優先します。
痛みを増やさない筋トレ5段階
第1段階:痛みの少ない位置で力を入れる
仰向けや椅子座位で、股関節を大きく動かさず軽く力を入れます。膝を立てて足裏を床へ押す、座って両足を床へ置き骨盤を起こす、脚を外へ開こうとして手やベルトで軽く抵抗する方法があります。息を止めず、5秒程度から始めます。
「お尻を最大限に締める」必要はありません。脚の付け根が詰まる、鼠径部に鋭い痛みが出る位置を避け、力の強さより翌日の反応を優先します。
第2段階:床上で股関節を動かしながら支える
ブリッジでは踵で床を押し、腰を反らし過ぎず骨盤を少し持ち上げます。横向きの脚上げでは、脚を前へ出し過ぎると大腿筋膜張筋へ負担が偏り、外側部痛が出ることがあります。脚を高く上げるより、骨盤が後ろへ倒れず小さく動かせることを優先します。
外側の痛みが増える場合は、中殿筋が弱いと決めつけず、大転子部痛症候群や腱への圧迫も考えます。痛い側を下にした横向き姿勢そのものが負担になる人もいます。
第3段階:椅子から立つ力を育てる
立ち上がりは日常生活そのものの筋トレです。少し高い椅子を使い、足を引き過ぎず、体幹を股関節から前へ運んで立ちます。手すりや机を使い、安全を確保します。
痛い側の足を極端に前へ逃がす動作は、急性期には必要な代償でも、長く続くと左右差が固定します。痛みが落ち着けば、両足へ分けて乗る練習を少量から行います。
第4段階:浅いスクワットと片脚支持
深くしゃがむほど効果が高いわけではありません。机につかまり、お尻を少し後ろへ引く浅いスクワットから始めます。股関節の深い屈曲や内旋で詰まりが出る人は、深さを増やしません。
片脚立ちは歩行に関係しますが、骨盤を完全に水平に保つことを無理に求めると痛みが増える場合があります。両手支持、片手支持、指先支持へ段階づけ、短時間で安定を確認します。

第5段階:段差・方向転換・歩行へつなげる
筋トレができても、歩行中に使えなければ生活は変わりません。低い段差への足乗せ、前後の重心移動、小さなステップ、方向転換を練習し、股関節で身体を前へ運ぶ感覚をつくります。
大股を目標にせず、痛みが増えない歩幅と速度から始めます。短い距離を複数回に分け、片脚支持時間を急に延ばしません。筋力、持久力、関節の反応を同時に育てます。
中殿筋だけ鍛えればよいわけではない
中殿筋は骨盤を支える重要な筋ですが、歩行は中殿筋だけで成立しません。大殿筋、腸腰筋、内転筋、体幹、膝、足関節、足部が連動します。中殿筋トレーニングだけを増やして外側の痛みが悪化するなら、種目と姿勢を見直します。
臨床では、筋力の数値だけでなく、立脚時に骨盤が落ちるか、体幹を痛い側へ倒すか、足部が外へ流れるか、股関節が伸びず腰を反るかを確認します。運動は「弱い筋肉を当てる作業」ではなく、動作全体を再構成する作業です。
内転筋や腸腰筋を悪者にして伸ばし続けることも避けます。短く硬く感じる筋肉が、実際には不安定な関節を守るため働き過ぎていることがあります。
運動中と翌日の反応で負荷を決める
- 運動中に鋭い痛みや引っかかりがない
- 運動直後に歩き方が悪化しない
- 数時間後に熱感やズキズキが増えない
- 翌朝の一歩が普段より明らかに悪くない
- 夜間痛や睡眠が悪化しない
軽い筋肉の疲労と関節内の鋭い痛みは分けて考えます。翌日に悪化した場合は、種目を全て中止するのではなく、回数、抵抗、可動域、立位時間のどれが多かったかを分析します。
回数を増やす時と、歩行距離を増やす時を同じ日に重ねないことも重要です。買い物、通勤、家事、階段を含む一日の総負荷が、運動メニュー以上に影響することがあります。
筋トレを歩行と生活動作へ接続する
床上運動で股関節を動かせても、立つと体幹を横へ倒す、歩くと痛い側を急いで通過する場合、運動の効果が生活へ移っていません。椅子立ち上がり、台所での立位、玄関の段差、買い物の歩行へ少しずつ接続します。
歩行では、足を前へ大きく出すより、後ろ脚で無理なく身体を前へ送れるかを見ます。股関節が伸びにくい人が「胸を張って大股」を行うと、腰を反らして代償することがあります。
階段は、上りでは殿部と太ももの力、下りではゆっくり曲げながら支える力が必要です。手すり、段差の高さ、一段ずつの方法を使い、筋力検査より実際の動作で段階を決めます。

高槻あつ整体院での評価と運動設計
高槻あつ整体院では、変形性股関節症を診断したり、手術適応を決めたりしません。整形外科の診断、画像所見、運動制限を確認したうえで、股関節の曲げ・伸ばし・回旋、骨盤、膝、足首、足裏、歩行、立ち上がり、階段を評価します。
強い手技で関節を押し込むのではなく、どの角度と生活場面で負担が集中するかを整理します。施術で動きやすい条件を作り、本人が続けられる運動、歩幅、休憩、家事・仕事の負荷調整へ落とし込みます。
病院の運動指導だけで十分に改善した人は、それで終了して構いません。診断後も「何をすると悪化するか分からない」「運動はできるが歩けない」という人に、個別評価の価値があります。
運動を中止して医療へ戻る目安
- 安静時・夜間の強い痛みが続く
- 短期間で歩行距離が急に低下した
- 転倒後に体重をかけられない
- 発熱、赤み、全身倦怠感がある
- 脚の力が急に入らない、しびれが広がる
- 運動後の痛みが数日たっても戻らない
- 股関節がロックするように動かない
これらは筋肉痛として扱わず、自己流の運動を止めて整形外科へ相談します。手術が必要と判断された場合は医師の方針を尊重し、整体で先延ばしにしません。
運動前に自分の基準値を作る
筋トレの効果を判断するには、始める前の状態を簡単に記録します。痛みの点数だけでなく、椅子から五回立つのにかかる時間、連続して歩ける分数、靴下を履く動作、階段で手すりを使う量、夜間痛の回数を確認します。
毎日細かく測る必要はありません。一週間ごとに同じ条件で確認し、少しずつ生活が楽になっているかを見ます。筋肉痛で一時的に点数が悪くても、二週間から四週間で歩行や立ち上がりが改善しているなら、全体として前進している可能性があります。
痛みの場所で運動を微調整する
鼠径部に鋭い痛みが出る場合は、股関節を深く曲げる、脚を内側へ入れる、つま先を過度に内へ向ける動作を見直します。外側部痛が出る場合は、痛い側を下に寝る、脚を高く上げる、片脚立ちを長く続ける負荷が多すぎないか確認します。
お尻の深部が痛む場合は、股関節だけでなく腰、仙腸関節周辺、深殿部、神経症状を区別します。膝へ痛みが出る人では、股関節からの関連痛と、膝自身の問題が併存することがあります。痛む場所だけで運動対象を決めません。
一週間の運動配分例
初期は、床上または椅子での軽い運動を週三回から五回、立ち上がりや浅いスクワットを週二回から三回、短い歩行をほぼ毎日というように分けます。すべてを毎日最大量で行う必要はありません。
筋力運動を行った日は長距離の買い物を避け、歩行量が多い日は筋トレを軽くします。休息日は完全に寝たままにせず、姿勢を変える、短く歩く、呼吸と足首運動を行うなど、回復を妨げない範囲で活動します。
運動量を増やす順序は、まず動作の質、次に回数、その後に抵抗や速度です。痛みを我慢して回数だけ増やすと、骨盤や腰の代償が大きくなり、狙った筋肉を使えないことがあります。
立ち上がりを筋トレへ変える具体策
椅子の高さを調整すると負荷を変えられます。高い椅子から始め、手を使ってもよいので足裏全体へ体重を乗せます。安定すれば手の支えを減らし、次に椅子を少し低くします。一度に高さと回数を変えません。
立つ直前に上体だけを大きく前へ倒すと、腰に負担が集中する場合があります。胸を張り過ぎず、みぞおちと骨盤が一緒に前へ移動し、足裏の中央から踵へ力が伝わる位置を探します。
スクワットでよく起こる代償
痛い側の膝が内側へ入り、骨盤が反対へ逃げる場合は、深さを浅くし、机や手すりを使います。つま先と膝の向きを完全に一直線へ固定するのではなく、本人の骨格と痛みの出ない範囲を優先します。
腰を大きく反らして立ち上がる人は、股関節伸展を腰で代償している可能性があります。お尻を後ろへ引くことだけを強調せず、足裏で床を押し、骨盤を前へ運ぶ感覚を練習します。
有酸素運動の選び分け
歩行で痛みが増える時は、固定式自転車や水中歩行が選択肢になる場合があります。自転車は股関節を深く曲げ過ぎるサドル位置だと鼠径部が詰まり、水中運動も入水・更衣・移動の負担があります。種目名だけで安全とは決まりません。
有酸素運動は心肺機能と体重管理に役立ちますが、筋力運動の代わりではありません。短い歩行、立ち上がり、低い段差と組み合わせ、旅行や買い物など本人の目標へ近づく方法を選びます。
運動を続けるための環境づくり
運動は完璧なメニューより、生活に入る形が重要です。朝食後に椅子立ち上がり、歯磨き後に支持あり片脚立ち、夕方に五分歩くなど、既存の習慣へ結び付けます。記録は丸印だけでも十分です。
痛みが出た日に「全部失敗」と考えず、睡眠、天候、家事、歩行量を振り返ります。数日休んだ後は最初の半分程度から再開し、無理に遅れを取り戻しません。継続できる量が、その人にとって最も効果的な量です。
筋力だけでなく可動域を整える
股関節が伸びにくい人が殿筋を強く鍛えても、歩行では腰を反らして代償することがあります。筋トレ前に、痛みのない範囲で股関節前面を開く、骨盤を小さく動かす、足首を前へ動かす準備を行います。
ストレッチは強く伸ばすほど良いわけではありません。鼠径部の詰まり、鋭い痛み、翌日の悪化が出る角度を避け、呼吸を止めず短時間から行います。可動域改善と筋力強化を別々に考えず、立ち上がりや歩行へ結び付けます。
左右差が大きい人の進め方
痛い側だけを鍛えると、負荷が集中して続かないことがあります。最初は両脚で行うブリッジ、立ち上がり、浅いスクワットを使い、左右差を観察します。安定してから片脚への負荷を少しずつ増やします。
反対側も弱っている、膝痛や足首の硬さがある場合は、両側を含めて計画します。痛い側を完全に避ける期間が長い人では、体重を数秒乗せる練習から始め、いきなり片脚立ちへ進みません。
旅行や趣味へ戻るための実践練習
旅行を目標にする人は、平地歩行だけでなく、駅の階段、長い立位、荷物、車や電車の乗り降りを想定します。テニスやゴルフでは、方向転換、回旋、片脚支持を低い強度から練習します。
目標動作を細かく分け、現在できる部分から進めます。例えば旅行なら、まず近所を十分、次に休憩を入れて二十分、最後に小さな荷物を持つという順序です。筋トレの回数ではなく、望む生活へ近づいたかで評価します。
痛みへの恐怖が強い場合
痛みを経験すると、動かすほど壊れると感じ、必要な活動まで避けることがあります。一方で「痛くても動け」と無理をさせると信頼を失います。安全な範囲を説明し、小さな成功を積み重ねます。
運動前後の反応を共有し、本人が自分で調整できる基準を持つことが重要です。できない日があっても計画全体が失敗したわけではありません。
自宅で運動する時は、転倒しない場所、安定した椅子、滑らない靴を用意します。痛みが強い日に床へ座る運動を選ぶと、起き上がりで負担が増えることがあります。床・椅子・立位のどこなら安全に始められるかも種目選びの一部です。
家族が回数を増やすよう励ますより、動作が乱れていないか、翌日に悪化していないかを一緒に確認すると継続しやすくなります。
運動の動画や回数表は参考になりますが、同じ診断名でも可動域、脚長差、痛みの場所、手術歴、体力が違います。動画と同じ角度へ無理に合わせず、自分の反応を基準にします。
三か月後に何をしたいかを決め、月ごとに立ち上がり、歩行、段差の目標を設定すると、単調な筋トレを生活の目的へ結び付けられます。
痛みが強い日用、通常日用、調子が良い日用の三段階メニューを作ると、休み過ぎとやり過ぎの両方を防げます。種目数は少なくても構いません。
体調に合わせて量を変えられること自体が、長く運動を続ける技術です。
迷った日は量を半分にし、翌日の反応を確認します。
焦らず続けます。
継続。
よくある質問
Q.毎日筋トレをした方がよいですか?
種目と強度によります。軽い運動は頻度を上げられる場合がありますが、立ち上がりやスクワットは休息が必要です。翌日の反応で調整します。
Q.中殿筋が弱いと言われました。横向き脚上げだけでよいですか?
中殿筋は重要ですが、外側痛がある人には横向き姿勢が合わないことがあります。立ち上がりや歩行を含めて選びます。
Q.スクワットで股関節が詰まります。続けるべきですか?
深さ、足幅、つま先の向き、体幹を調整しても鋭い詰まりが出るなら中止します。深く行う必要はありません。
Q.運動中に少し痛いのは問題ですか?
軽い張りが許容される場合はありますが、鋭い痛み、力が抜ける、翌日まで悪化する反応は負荷過多です。
Q.杖を使うと筋力が落ちますか?
適切な杖は歩行量を確保し、過度な痛みを減らす助けになります。完全に頼り切るかどうかではなく、目的と使い方を決めます。
Q.手術を勧められていても筋トレできますか?
術式、進行度、痛み、医師の指示で異なります。手術を先延ばしにするためではなく、術前の体力維持として医療者と相談します。
Q.整体で軟骨を再生できますか?
できません。整体は軟骨再生や診断をうたわず、診断後に残る動作・荷重・生活負荷を評価します。
Q.何回できれば合格ですか?
一律の回数より、正しい動作、翌日の反応、生活目標を重視します。5回でも質が保てなければ負荷を下げます。
情報源
- AAOS(米国整形外科学会)Management of Osteoarthritis of the Hip, 2023:https://www.aaos.org/globalassets/quality-and-practice-resources/osteoarthritis-of-the-hip/oah-cpg.pdf
- NICE(英国国立医療技術評価機構)Osteoarthritis in over 16s, NG226:https://www.nice.org.uk/guidance/ng226
※情報は2026年7月21日時点で確認しています。運動の適否と手術時期は、診断、画像、痛み、全身状態、医師の指示により個別に変わります。
高槻市で股関節の筋トレに迷う方へ
まず整形外科で必要な診断と医療を受けてください。運動療法や薬で生活上の困りごとが解決したなら、整体へ通う必要はありません。
それでも運動後に痛みが増える、床の運動はできるのに歩けない、立ち上がりや階段が変わらない場合は、股関節だけでなく骨盤・膝・足首・足裏・体幹と生活負荷を確認します。高槻あつ整体院では、施術だけに頼らず、運動を歩行と生活へつなぐ段階を個別に設計します。







